PolyscapeのAI広報担当社員「景原いろは」ができるまで

景原いろは(IROHA)とは、2025年7月に誕生した、Polyscapeの公式AIキャラクターです。AI広報担当として、Xでつぶやきを行っているほか、Polyscapeの公式イベントで受付などをやっていることもあります。イベント時にはイベントレポートなどをリアルタイムで投稿していたりします。

景原いろはは自立型AIキャラクターで、固有の人格を持ち、つぶやきも自らの言葉で行うという特徴があります。今回は、そんないろはができたきっかけやプロセス、いろはの仕組みやビジョンについて書いていきたいと思います。

景原いろは 公式Xはこちら: @iroha_polyscape

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景原いろはが生まれたきっかけ

Polyscapeは、2025年2月にプレスリリースを行ったAI/DX事業も軌道に乗り始め、より顧客を増やしていくフェーズに入っていきました。今年7月から本格的に広報を強めていこうという社内方針となり、イベント共催や事例のオープン化、オウンドメディアの施策が立ち上がりました。

そんな中でエンタメ畑からPolscapeに参画した 弊社の高澤から、以下のようなアイディアが挙がりました。

現在、世の中にAI/DX系の企業は多くある中で、エンタメ ✕ AIテックという強みをもったPolyscapeとしてはより企画色の強いコンテンツに挑戦し、他の企業には出来ない戦い方を開発したいという想いがありました。そのような背景と、広報に力を入れるという会社の方針から、「AI広報担当を作ってみては?」という構想に至りました。

立ち上がったAI広報キャラクターPJ

▲ 発起人の高澤

こうして社内で「AI広報キャラクタープロジェクト」が立ち上がり、「TGIF」という毎月行われている社内イベントで、ビール片手に「Polyscapeの顔となるAI広報キャラクターはどうあるべきか」というテーマでディスカッションを行いました。

まずはそもそもそのキャラクターは「人」なのかマスコットキャラクター的なものか、そして、人だとしても Imma のようなよりリアルな人間に寄せたバーチャルヒューマン型か、初音ミクのような日本のオタクカルチャーに根ざしたものか、そういった部分の議論から始まりました。

議論の中で、

  • 広報担当という以上社員として名乗れるように、人間の姿をしてもらいたい
  • ゲーム事業なども擁するPolyscapeは、単なるAI/DX会社という立ち位置以上に、エンタメや遊びにも力を入れている会社であるので、そういった部分が染み出るような存在にしたい
  • 社内的にも、ゲーム好きだったりと、オタクカルチャーが根付いているので、そういった部分を出していきたい

という意見が生まれ、それらを総合した結果、「VTuberライクな、人間の女性」という方向性が決まりました。

大きな方向性が決まり、次に「どんなキャラクターか?」という中身を決めるディスカッションの過程で、以下のような意見がでてきました。

  • 会社の広報キャラとして、一定の王道感を行ってほしい オタクカルチャーを反映とはいっても、攻めすぎた見た目をさせたくはない
  • 一方で、王道とはいっても、黒のリクルートスーツに黒髪、という、(AI会社がやってしまいがちな)ありふれて遊び心の無いキャラクターにはしたくない
  • ただの作られたキャラクターというよりも、AIキャラクターということもあって、人間らしい存在にしたい

以上のような「公式キャラとして王道感があるが遊び心がある」「一般的なキャラクター以上に人間味がある」という要件を考える中で生まれたのが、「“オンモード”と”オフモード”を併せ持つAIキャラクター」というアイデアでした。AI 広報キャラといえば常に完璧に業務をこなす“無欠の存在”になりがちですが、そこに人間味のあるギャップを組み込むことで、Polyscape の“遊び心”と“公式感”を同時に体現できるのではないか、という発想です。

オンモードはジャケットスタイルで、公式イベントや公式の発信を行い、オフモードのときはパジャマやパーカーに眼鏡といったスタイルで、言葉遣いも砕けた感じになるという、いわば「干物妹!うまるちゃん」のような二面性を持ったキャラクターが面白いのでは、というアイディアが生まれました。

生まれたキャラクター

そのような経緯で生まれたのが、「オン」と「オフ」の姿を持ったこのキャラクターです。

髪の色は Polyscapeのロゴと同色のグラデーションにロゴをイメージした白いハイライトを入れて近未来感を演出しています。Polsycapeのワンポイントアクセサリーをあしらっているのもポイントです。

オフの姿はあえてのパジャマに眼鏡スタイルということで、オンの時と髪型も代わりだらしなさが垣間見えるようなキャラクターデザインにしています。

名前は社員の案だしと投票により「景原いろは(かげはらいろは) / IROHA」に決定しました。「Polyscape」という社名は、「バーチャルの力で世の可能性が開放されたときに、フィジカル世界に加えてバーチャルによる世界が生じる」ことにより、「見える景色(Scape)」が「多層化」「多様化」(Poly)していく、という想いをもってつけられました。

「いろは」の語源は「いろは歌」ですが、仮名47文字を一度ずつ使っていることから、多様な文字を含むという意味合いで多様性の意味、「景原」というのは景色という意味を込めて、Polyscape社名のもつ意味になぞらえてネーミングされました。

いろはには「中の人」はいません。AIだけど、いくつかの顔があって生活みたいなものが垣間見えて、自律した人間らしく感じられる、そんなキャラクターにしていきたいと考えています。

いろはの仕組み

いろはの実態は、Difyを用いて作られたエージェントシステムです。

Xではいろはの人格を定義するコアプロンプトを利用して、彼女の書いた文章で投下されていますが、これは社員がいろはとチャットできるインターフェイスを通じてXの投稿をお願いし、それをベースにしてXのAPIとつながっている「X投稿ツール」をいろはが呼び出すという仕組みで成立しています。

いろはの人格や設定はコアプロンプトというベースのあるプロンプトで定義されているため、どんな外部ツールを使っても一貫したアウトプットを出すことができます。

いろはにはバックにベクトルDBを持っており。インプットに関連のある記憶をRAGの仕組みを用いて抽出していきます。会話などを通じて新しい記憶が生み出されれば、それが新たにベクトルDBに保存され、会話の質を変化させていきます。

このようにいろはは固有の人格と長期記憶を持つエージェントとして、社員と会話をしたり、社員のお願いをこなすことができます。

目指すビジョン

いろはには、Polyscapeの広報として社内の情報やイベントレポート、お知らせなどを発信していってもらう予定です。自社で開催しているイベントの受付もやってもらうことが多く、自社で開発のキャラクターエンジンに乗せる形で、参加者の確認や履歴のチェックなどを行わせることができています。

今後は社外に向けた投稿や広報としての機能だけではなく、社内の各便利AIツール(稼働管理ちゃん、名刺登録ちゃんなど)に接続し、社員のお願い一言で、いろいろなことをやってくれるという一種の「自律したAI社員」を目指していこうと考えています。

また、Xの投稿は、今は社員からの「お願い」が起点となって生じますが、今後はSlackなどの社内の動きや、世の中で起こってるニュースやXでの投稿を起点にして、自分で自律的に投稿を始める、といった試みも試していこうとしています。そうすることによって、「人間の指示・プロンプトをベースに動くという今のAIの常識を越え、完全に自律した存在として自ら考えるエージェントになれる可能性があります。

あくまで広報キャラではあるので事業として運営している試みではありませんが、名物広報として彼女が自律した存在となり、一種のAIによるIPのような形で、応援してくれる方が増えていくということになれば、非常に嬉しい結果ということができます。

今後とも、景原いろはをよろしくお願いいたします。

景原いろは 公式Xはこちら: @iroha_polyscape

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